選択

恐れていたことが起きてしまった。自分にとって大切な日と
なるであろう日が明日に当たってしまった。
自分が早稲田を目指そうと思った一番の理由。熱い思いを
持った学生。そう、その代表ともいえる人物に明日会う機会が
ある。すでに四年生であるその人物は、今回の機会を逃したら
二度と会うことができないかもしれない。千載一遇のチャンス。
これを逃してどうするのか。
今日は銀座に行って髪を切ってきた。別になんてことはない、ただ髪が
長くなってうざいから切っただけだ。学校から帰るとき、寮の友達に会い
これから髪を切りに行くと言ったら、予想通り「明日のダンスパーティーに
備えてか？」的なことを言われた。悪気はないだろうから別段腹は
たたなかったが、間違いなく明日のダンスパーティーに備えてなんてことは
ない。僕ほど寮祭をよく思ってない人間はこの寮にはきっといないだろう。
勘違いしないで頂きたいが、別に寮に住んでいる人間が嫌いなわけではない。
今回の企画を担当する二年生には普段からお世話になっている人もいるし、
だからこそ寮行事全てを放棄するという不法な選択肢は考えていない。
しかし今回ばかりは…
やはり寮をやめるのがこれからの自分にとって最善の一手か。
なんにしても早いところバイトを始めよう。でなきゃ何も始まらない。