宅急便

今日、実家から荷物が届いた。中身は洗濯用洗剤とカップ麺と
インスタントカレー、缶ビール。こんなものぐらい東京で買え
ばいいのだが、問題はそこじゃない。荷物を送ってもらうこと
に意味があるのでなく、荷物を送って欲しいと電話することに
意味がある。何も用がないのに電話するなんてことは性格上、
気恥ずかしくてできない。だから用事を捏造するんだ。親だっ
てそれぐらい分かっているだろう。それでいい。
両親には世話になっているが、特に母親には受験のときに相当
心配も迷惑もかけた。早稲田に受かったとき、自分のことのよ
うに泣いて喜んでくれたことは忘れない。
僕は荷物が届くと毎回その日の内に電話をかけることにしている。
そのときだけは「ありがとう」という言葉を会話のどこかに入れる。
忘れずに入れるようにしている。母は、この「ありがとう」に荷物の
件だけでなくもう一つの意味を含んでいることに気づいているだろう
か。気づいてないかもしれない。けれども、それでいい。
今日は母の誕生日。